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乳房外パジェット病[私の治療]

No.5115 (2022年05月07日発行) P.50

吉野公二 (がん研究会有明病院皮膚腫瘍科部長)

登録日: 2022-05-10

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  • 乳房外パジェット病は,胞体の明るい大型の異形細胞が表皮内で増殖する疾患で,外陰部や腋窩の皮膚に生じる皮膚がんである。高齢者に多く,進行するとリンパ節や遠隔転移を起こす。

    ▶診断のポイント

    脱色素斑や境界不明瞭な紅斑を伴い,瘙痒などの自覚症状を生じることもあり,湿疹と鑑別を要する。このため,外陰部に難治性の湿疹を生じている場合は,本疾患を念頭に置く必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    表皮内病変であることが多いため,病巣を完全に切除することで長期予後が見込める。そのため,術前画像検査で遠隔転移がなく全身状態に問題がなければ,外科的切除を行う。しかし,切除することによりボディイメージに変化を生じるため,特に女性は外陰部にメスを入れることに抵抗を示すことがある。手術を拒否する場合,全身麻酔が行えない,もしくは手術後にperformance status(PS)の低下が予期される状況では,放射線照射も検討する。しかし,根治照射を行うことで外陰部に放射線皮膚炎が生じるリスクもあり,緩和照射的な治療選択になることが多い。一方,遠隔転移があれば,化学療法を主体とした治療となるが,本疾患に対して保険適用されている薬剤がないため,使用する際には施設ごとの対応を要する。

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