【質問者】
保科隆之 産業医科大学医学部小児科学教室准教授
【キノロン系外用薬で治療開始し難治例は培養採取後に経口抗菌薬の併用を検討】
伝染性膿痂疹は学童期未満の小児で多く認める皮膚の感染症です。原因微生物は90%以上が黄色ブドウ球菌であり,数%がA群β溶連菌です。わが国での報告において伝染性膿痂疹から分離されたMRSAの割合は20~40%前後です1)。中でもcommunity-acquired-MRSA(CA-MRSA)による重症軟部組織感染症や反復性難治性膿痂疹の症例を近年散見するようになっています2)。CA-MRSAが産生するPanton-Valentine leukocidin,toxic shock syndrome toxin-1,γ-hemolycinなどの毒素が重症化に関与していると考えられています3)。
伝染性膿痂疹の治療に関しては,全身状態がよく,限局した病変であればスキンケアと外用薬での治療が可能です。以前は外用薬としてゲンタマイシンが多用されていましたが,現在皮膚から分離された黄色ブドウ球菌はゲンタマイシンにほぼ耐性であり,MRSAにおいても感受性を有していることが多いキノロン系外用薬,リンコマイシン系外用薬での治療が推奨されています。
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