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政府の新型コロナ対応検証会議がスタート─司令塔機能やかかりつけ医の関わり方をテーマに議論【まとめてみました】

No.5117 (2022年05月21日発行) P.14

登録日: 2022-05-19

最終更新日: 2022-05-24

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政府のコロナ対策を検証する「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」の初会合が5月11日、開催された。座長は永井良三自治医大学長が務める。会議は週1回のペースで開かれ、これまでの対応を振り返りながら中長期的な観点に基づき課題を整理、感染症対策の司令塔機能や感染症法・医療法など関連法制度の見直し、かかりつけ医の関わり方などについて6月をメドに取りまとめを行う方針だ。

同会議は岸田文雄首相がかねて創設を表明していたもの。構成員は座長の永井氏に加え、社会学者の古市憲寿氏やボストン・コンサルティング・グループ日本共同代表の秋池玲子氏、東大院法学政治学研究科教授の宍戸常寿氏など計8人で、医療界からは日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周理事長、東京医科歯科大の田中雄二学長も参加している。客観的な意見を求めるため、新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員や感染症の専門家は含まれていない。

コロナ対応を4期に分けて整理

11日の会合では、COVID-19の国内での流行が始まった2020年1月以降の政府の対応を、医療提供体制や地域保健体制の整備、ワクチンの確保、特措法適用などの観点からまとめた資料が示された。資料ではのようにこれまでの対応を4つのフェーズに分けて整理している。

Ⅰ期(2020年1月〜6月頃)は「新型コロナウイルスの毒性、感染⼒等の特性が明らかでなかった時期」と定義。この時期は、国内外の情報収集に努めつつ、ダイヤモンド・プリンセス号の事案発生などを受け、クラスター対策を中心に感染者等を特定隔離することに重点を置いた対応を実施した。

感染拡大に伴い新型インフルエンザ特別措置法(特措法)を改正し、4月7日に初めての緊急事態宣⾔を発出。外出⾃粛など行動制限の要請を実施した。

Ⅱ期(2020年6月頃〜2021年3月頃)は、ウイルスの特性や初期対応の知⾒等を踏まえ、感染の再拡⼤を⾒据えて病床・宿泊療養施設の確保に取り組み、2021年2月13日には緊急事態宣⾔に⾄る前から実効的な感染症対策を講じるため、「まん延防⽌等重点措置」を創設した。またワクチンを初めて特例承認し、3社とワクチン供給に関して契約。医療従事者等を対象とした先⾏・優先接種を開始した。

Ⅲ期(2021年3月頃〜11月頃)は「アルファ株からデルタ株の変異株に対応した時期」。重症者や死亡者を抑制するため、ワクチン接種と治療薬活⽤の促進に注⼒した。

⼤型連休には、飲⾷店・⼤規模施設への休業要請など強い⾏動制限を実施したものの、夏場には重症者数が増加。コロナ医療以外の⼀般医療も含め、医療提供体制が逼迫した。都市部を中⼼に、酸素投与等が必要にもかかわらず⼊院できないケースが発⽣したため、「⼊院待機ステーション」「酸素ステーション」の整備、臨時医療施設の設置などを実施。7月には中和抗体薬が特例承認され、⼊院や外来、往診等での投与を開始。ワクチンは⾼齢者の優先接種を4⽉12⽇から開始し、7⽉末までに希望する⾼齢者の2回接種という⽬標をおおむね達成した。

Ⅳ期(2021年11月以降)は「オミクロン株に対応した時期」。感染力は強いが重症化率は低いオミクロン株の特性を踏まえた対策の実施。ワクチン追加接種を加速化し、学校・保育所・⾼齢者施設等での感染防⽌策・検査を徹底した。2022年2月には急激な感染拡⼤により、再び保健所が逼迫状態に。濃厚接触者の急増で社会経済活動への影響が⼤きくなったため、オミクロン株の特性を踏まえ、濃厚接触者の待期期間を⾒直し、発⽣届や積極的疫学調査を重点化した。

 

「かかりつけ医がもっと活躍できたのではないか」

会議終了後の内閣府の会見によると、これまでの対応の整理について構成員から特段の異論は出なかった。その後のディスカッションでは、「専門家のあり方」「情報」「医療提供体制」などについて多くの意見が出た。

専門家のあり方を巡っては、科学的知見を持つ専門家と政治の役割分担の重要性を複数委員が指摘。このほか「専門家のくくり方の定義が曖昧。会議メンバーだけが専門家ではなく、パンデミック対策では幅広くアカデミアの知見を集約する考え方があったほうがいい」などの声が上がった。

パンデミック対策における情報の重要性については「刻々と変化していく情報にリアルタイムに対応していく必要があり、広く活用しうる情報を集めることが大切になるので、情報基盤を構築していくことが求められる」など、関係者間のリスクコミュニケーションの観点から情報収集・提供のあり方を検討していくことを求める声があった。

何度も逼迫状況に陥った医療提供体制を巡っては、「(民間医療機関が多いためコロナ対応が)協力要請ベースにならざるをえない以上、特定の病院や関係者に負荷がかかっている」「かかりつけ医的な機能がもっと活躍できたのではないか」などの指摘があった。COVID-19患者を受け入れ可能と申告しながら、実際は患者を拒む「幽霊病床」を問題視する声も上がったという。

尾身分科会長からもヒアリング

今後は5月17日、5月20日と続けて会合を開催。20日には新型コロナ対策分科会長の尾身茂氏を参考人として招く予定。緊急事態宣言を巡る政府と専門家の意思決定のプロセスなどについてヒアリングを実施する方針だ。 新たなパンデミックにも耐えうる医療提供体制の構築など、この2年間で大きなダメージを負った社会経済活動の回復につながる検証が求められる。

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