財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は5月25日、春の建議「歴史の転換点における財政運営」を公表した。医療給付費抑制のためには効率的で質の高い医療提供体制の構築が必須とし、外来医療ではかかりつけ医の認定制度や、患者がかかりつけ医と自身の医療情報を事前登録する仕組みの導入などを提言した。
建議は、外来における医療機能の分化と連携を図るには、かかりつけ医機能が発揮される制度の整備が不可欠だと強調。具体策では、休日・夜間も患者に対応できる体制の構築や在宅医療の推進といった、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化した上で、要件を満たす医療機関を認定する仕組みづくりを求めた。
患者が認定かかりつけ医と自身の医療情報を事前登録する仕組みの導入も提言。事前登録をしていないにもかかわらず、認定かかりつけ医を受診する患者から選定療養として定額負担を徴収することについても併せて検討するべきだとした。
入院医療では地域医療構想を推進する観点から、▶地域医療構想の推進を医療費適正化計画の必須事項とするなど法制上の位置づけを強化、▶都道府県における地域医療構想の達成状況を見える化、▶未達の場合の都道府県の責務を明確化、▶地域医療構想の推進に向けた都道府県知事の権限強化―などの実現を求めた。地域医療連携推進法人制度の活用も提言。その普及のため、法人に参加する複数の医療機関等に対し、一体として包括報酬を支払う仕組みの検討も促した。
薬価制度改革については、毎年薬価改定(中間年の薬価改定)の完全実施や、薬剤給付費の伸び率と経済成長率が乖離しないように薬価総額にマクロ経済スライド制度を導入することなどを提言。2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋については、医師に時間的な余裕が生まれたことによる医療の質の向上や患者負担の軽減が期待できるとし、積極的な活用を求めた。
このほか介護では、▶ロボット・AI・ICTの実用化やタスクシフトを通じた業務負担軽減と人材配置の効率化、▶経営の大規模化・協働化の推進による費用構造の改善―などを通じて介護サービス提供体制の効率化を図り、人材確保と処遇改善につなげることを提言した。