厚生労働省(厚労省)が6月3日の社会保障審議会医療部会に報告した「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」の結果によると、所属医師の副業・兼業先を含む時間外労働時間(休日勤務含む)を概ね把握できていたのは、回答病院の約4割にとどまることがわかった。40都道府県が、小児・周産期・救急医療提供体制への影響を把握できていないことも判明。医療機関、行政双方の準備不足が顕著になり、構成員からはよりきめ細かな実態把握を求める声や、国による支援の強化を求める声が上がった。
調査は全都道府県、病院を対象に2022年3~4月に実施。病院調査には3613施設が回答した(回答率44%、大学病院本院は100%回答)。副業・兼業先も含めた時間外労働時間の把握状況をみると、概ね把握していると答えたのは1394施設(構成比39%)。大学病院本院では20施設(構成比24%)だった。
時間外労働の上限規制が始まる2024年4月以降、529施設(大学病院本院は69施設)で時間外労働がA水準(年960時間)を超える医師の発生が見込まれ、このうち宿日直許可を取得していたのは168施設(32%)、大学病院本院では46施設(67%)。申請予定があると回答したのは234施設(44%)、大学病院本院は12施設(17%)だった。
上限規制導入後にA水準を超える医師の発生見込みがある大学病院本院のうち68施設、地域医療支援病院では110施設が現在、医師派遣を実施(常勤または非常勤派遣)。これら施設に今後の見通しを聞いたところ、常勤医師派遣の中止・削減予定があったのは大学病院本院42施設中4施設(10%)、地域医療支援病院は36施設中2施設(6%)。非常勤医師派遣の中止・削減予定は、大学病院本院50施設中2施設(4%)、地域医療支援病院では72施設中7施設(10%)だった。
一方、47都道府県のうち、医師の働き方改革の医療提供体制への影響の把握に関する取組を行っていたのは、わずか6都道府県(13%)。40都道府県(85%)は、小児・周産期・救急医療提供体制への影響を把握できていなかった。
調査結果について厚労省は、時間外労働時間を把握できている病院が4割程度のため、今回の調査で病院の準備状況等の総合的な評価は困難だと説明。今後、改めて調査を行う考えを明らかにしている。