KDDIによる大規模通信障害の発生を受けて厚生労働省は、医療施設等に通信障害発生時の通信手段の確保を求める事務連絡を7月4日付で都道府県に送付した。
事務連絡は、通信回線は電気や水と同様に医療提供を行う上での重要なライフラインだとし、通信障害が発生した場合も診療等に影響が生じることがないよう、平時から体制を整備していく必要があると指摘した。
その上で、対応の具体例として、▶医療施設における休日夜間の診療体制を維持するため、職員との連絡手段を確保する、▶患者からの電話を受信できるように複数の通信手段を確保し、受信可能な電話番号をホームページに掲載するなどの体制を整備する、▶在宅医療や訪問看護などを実施している医療施設等において、普段利用している連絡手段が使用できない場合は、固定電話等の代替的な連絡先を患者等に伝える、▶特にリスクの高い在宅患者等について、患者等との連絡がとれない場合には、別の連絡手段を確保することや、頻回な訪問等による安否確認を行う─ことなどを提示。都道府県に管下の医療施設等への周知を要請した。
2日未明に発生した大規模通信障害は医療現場にも大きな影響を及ぼした。後藤茂之厚生労働大臣は5日の閣議後会見で、当直医師や訪問看護ステーション、新型コロナウイルスの感染患者にパルスオキシメータを配送するドライバーなどとの電話がつながらなくなった事例の報告があったことを明らかにしている。