医療には,外来医療と入院医療,在宅医療の3つの形態があります。一般に,外来医療よりも在宅医療のほうがコストが高いため,保険診療上は外来通院できる患者には外来医療を提供し,通院困難な患者に限って在宅医療を提供することになります。
保険診療上,在宅医療の対象者は,「疾病や傷病のために通院による療養が困難な者」とされ,個々の患者が該当するかどうかは主治医が判断するものとされています(図1)。さらに,在宅患者訪問診療料の算定などについては,「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは算定できない」ことが通知で示されています(2022年3月4日保医発0304第1号)。
訪問できる距離にも規定があります。医療機関の所在地と患家の所在地の距離が16km圏外の場合は,へき地などの特殊な事情がある場合を除いて往診料や在宅患者訪問診療料を算定できません。当該医療機関からの往診を必要とする患家の周辺に対応できる医療機関がないなどの絶対的理由がある場合のみ,16km圏外でも算定ができます。