政府は9月2日に開いた新型コロナウイルス感染症対策本部で、「次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を決定した。今年6月に設置の方針を示していた司令塔機能を担う新組織については、仮称を「内閣感染症危機管理統括庁」とし、2023年度中の設置を目指す。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して新たに創設する専門家組織(いわゆる「日本版CDC」)については2025年度以降の設置を目指すとしている。
「対応の具体策」は、6月に決定した「対応の方向性」を具体化したもので、保健・医療提供体制の整備と司令塔機能の強化が柱。
司令塔機能の強化の目玉である「内閣感染症危機管理統括庁」は、首相・官房長官を直接支える組織として内閣官房に設置し、平時は感染症危機を想定した訓練、普及啓発、各省庁等の準備状況のチェックなど、緊急事態発生時は初動対応を一元的に担うとした。
新たな専門家組織(日本版CDC)は、感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点、国際保健医療協力の拠点、高度先進医療の総合的な提供などの機能を担うとしている。
保健・医療提供体制の整備では、都道府県と医療機関が病床・発熱外来等に関する協定を締結する仕組みを法定化し、公立・公的医療機関等や特定機能病院・地域医療支援病院には感染症発生・まん延時に担うべき医療の提供を義務づける。
初動対応を行う協定締結医療機関に対しては「流行前と同水準の医療の確保」を可能とする支援措置(流行初期医療確保措置)を講じるとする一方で、協定に沿った対応をしない医療機関に対しては都道府県が勧告・指示・公表を行い、指示に従わない特定機能病院・地域医療支援病院に対しては承認取消もできるとした。
このほか、緊急時に医薬品・医療機器・個人防護具などを確保するため、事業者に対し生産要請・指示や支援を行える枠組みを整備するとしている。
2日の対策本部で岸田文雄首相は、「対応の具体策」を踏まえ、必要な法案の準備を進めるよう関係閣僚に指示した。
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新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策(9月2日 新型コロナウイルス感染症対策本部)
新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策(概要)(9月2日 新型コロナウイルス感染症対策本部)