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頸椎後弯に対する手術の治療戦略 【病態に応じた術式決定のためのアルゴリズムを作成】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.47

宮本裕史 (近畿大学整形外科准教授)

赤木將男 (近畿大学整形外科主任教授)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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強直性脊椎炎に合併した頸椎後弯において,前方注視困難や頸髄症などの障害を呈することはよく知られている。わが国では椎間板変性,すなわち多椎間における椎間板高の減少,椎間板の前方圧縮,椎体の前方すべりなどが頸椎後弯の主原因と考えられる症例に遭遇する機会が多い。そのような症例に対して手術を計画する際,変性が病態の基盤にあるため,脊柱管狭窄,椎間関節症性変化,椎間孔狭窄などを合併している場合が多く,後弯を矯正する際に脊髄障害やC5麻痺などの神経障害を生じるリスクが高い。

筆者らは,変性が頸椎後弯変形の主原因である頸椎後弯に対して,症例の病態に応じた術式決定のアルゴリズムを作成し,より安全な手術の遂行をめざしている。

術式の選択としては,頸椎伸展位にて整復可能である症例に対しては椎弓根スクリューを用いた後方単独手術を施行している。一方,非整復例に対しては後弯を整復するために前方解離や椎間関節切除が必須であり,前/後手術あるいは後/前/後手術を施行する。また過度の矯正は脊髄損傷や術後C5麻痺の危険性が増すため,術中は軽度前弯位獲得を目標としている。前方解離を併用した場合,40度程度の後弯矯正が可能である。Kurakawaらは,20度以上後弯を矯正した際に有意に術後C5麻痺発生頻度が増すと報告しており1),首下がりなどの脊柱変形を矯正する際にはC4/5高位における予防的椎間孔拡大術の施行が必須と考える。

【文献】

1) Kurakawa T, et al:Eur Spine J. 2016;25(7):2060-7.

【解説】

1)宮本裕史,2)赤木將男 近畿大学整形外科   1)准教授 2)主任教授

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