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パーキンソン病(PD)の臨床診断におけるコツ 【RBDや嗅覚障害の先行はPDの前駆症状として陽性尤度比の高いマーカーとされている】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.50

木原武士 (洛和会音羽リハビリテーション病院神経内科部長)

馬場康彦 (東海大学医学部付属病院認知症疾患医療センター長/ 東海大学医学部内科学系神経内科学准教授)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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  • パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)の臨床診断におけるコツ,特にMIBGシンチグラフィなどの検査を実施することが難しいかかりつけ医がパーキンソン症候群と鑑別するための有効な方法などがあれば,ご教示下さい。東海大学・馬場康彦先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    木原武士 洛和会音羽リハビリテーション病院神経内科 部長


    【回答】

    パーキンソン症候群とは震え(振戦),初動の遅れ・緩徐な動作(動作緩慢),筋緊張の亢進(筋固縮)などの運動症状(パーキンソニズム)を呈する疾患の総称ですが,運動症状自体を指すパーキンソニズムと同義で使う場合もあります。したがってPDはパーキンソン症候群に含まれますが,同時に,PDの臨床像に類似する疾患が多く存在し,実際の臨床では多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA),進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP),大脳皮質基底核変性症,薬剤性パーキンソニズム,中毒性パーキンソニズム,正常圧水頭症などが主な鑑別疾患と考えられます。

    PDでは運動症状の程度に左右差を有するとされますが,MSAおよびPSPのパーキンソニズム優位型(それぞれMSA-PとPSP-P)でも病初期には運動症状の左右差が認められます。また,安静時振戦もPDの特徴とされますが,MSA-PやPSP-Pでも認められ,薬剤性パーキンソニズムでも稀に出現します。PDの他のパーキンソン症候群と異なる点としてL-dopaに対する反応性が挙げられますが,PSP-Pの運動症状もL-dopaにより改善を示します。このようなことから,運動症状のみではパーキンソン症候群の鑑別が困難である場合も少なくありません。PDの誤診率はかかりつけ医で47%,PDを専門としない神経内科医で25%,PD専門医で6~8%と報告されています1)。個々のパーキンソン症候群において,特にパーキンソニズム以外の特徴をふまえてPDとの鑑別を進める必要があると考えます。

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