【質問者】
木村昭夫 国立国際医療研究センター病院 救命救急センター長
整形外科領域における骨折などの外傷の占める割合は40~50%,ERや救命救急センターに搬送された手術を要する外傷患者の約80%は整形外傷で占めると言われています。これらの事実から,外傷診療において整形外科医の参加は必須と言えます。しかし,整形外傷を重症度・緊急度の視点から見ると致死的損傷は稀であり,全整形外傷の5%程度にすぎません。
その例として,高位頸髄損傷,不安定型骨盤骨折,四肢の切断,主動脈損傷や広範な軟部組織損傷を伴う開放骨折,圧挫症候群,骨折の合併症としての脂肪塞栓症候群,静脈血栓塞栓症などが挙げられますが,不適切な初期治療によって長期にわたり後遺障害を残す患者も少なくありません。
残り900文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する