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わが国の外傷診療システムにおいて外傷専門医に求められる整形外科的知識とスキルは?【欧州に比べると限定的だが,重症患者に対する根治までを見通した初期治療を施行できることが理想】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.53

木村昭夫 (国立国際医療研究センター病院救命救急センター長)

新藤正輝 (帝京大学医学部附属病院救急科外傷センター病院教授)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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  • わが国において整形外科医が外傷診療システムをどの程度担えるのでしょうか。また外傷専門医はどの程度,整形外科的知識とスキルを備えるべきでしょうか。
    整形外科を中心とした外傷センターのパイオニアである帝京大学・新藤正輝先生の忌憚のないご意見をお聞きしたく存じます。

    【質問者】

    木村昭夫 国立国際医療研究センター病院 救命救急センター長


    【回答】

    整形外科領域における骨折などの外傷の占める割合は40~50%,ERや救命救急センターに搬送された手術を要する外傷患者の約80%は整形外傷で占めると言われています。これらの事実から,外傷診療において整形外科医の参加は必須と言えます。しかし,整形外傷を重症度・緊急度の視点から見ると致死的損傷は稀であり,全整形外傷の5%程度にすぎません。

    その例として,高位頸髄損傷,不安定型骨盤骨折,四肢の切断,主動脈損傷や広範な軟部組織損傷を伴う開放骨折,圧挫症候群,骨折の合併症としての脂肪塞栓症候群,静脈血栓塞栓症などが挙げられますが,不適切な初期治療によって長期にわたり後遺障害を残す患者も少なくありません。

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