私は,2000年に在宅専門クリニックを開業しましたが,開業して2年後くらいに,厚生労働省の方が見学に来られました。かなり役職が上の方1人と実務担当の方2人の計3人が,暑い夏に汗をしたたらせながら訪問診療に同行もされたことを憶えています。当時,まだ数少なかった全国の在宅専門クリニックを何箇所か見学されたと聞きました。
在宅での看取りを増やしていくために何が必要かと質問され,私は「患者家族が安心するために24時間体制が少なくとも必要条件」「医師の都合で訪問するのではなく,十分な訪問診療を行った上で,患者家族が来てほしい時にいつでも訪問できるシステムが必要」と答えました。軽度患者も重度患者も当時は管理料が同じだったので,重度患者を診るほど報酬を手厚くする制度が大切だ,とお話ししました。