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特集:実践パーキンソン病治療薬─最新のエビデンスをふまえて

登録日: 2022.10.28 最終更新日: 2026.02.21

前田哲也 (岩手医科大学医学部内科学講座脳神経内科・老年科分野教授)

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1993年弘前大学医学部卒業。弘前大学第三内科、秋田県立脳血管研究センター神経内科を経て,2016 年岩手医科大学脳神経内科・老年科特任准教授,2019年より現職。パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の治療・研究に取り組む。著書に『みんなで学ぶパーキンソン病 改訂第2版』(共著)など。

1 パーキンソン病治療薬の“これまで”と“これから”
・パーキンソン病(PD)の薬物療法における基本的コンセプトはドパミン補充療法(DRT)である。
・運動合併症の治療および防止のための治療戦略的コンセプトとして持続的ドパミン受容体刺激(CDS)は重要である。
・非ドパミン系治療薬はドパミン神経伝達の機能障害を間接的に補うことでDRTのコンセプトを叶えた旧世代治療薬と,大脳基底核回路の直接的な賦活を行う新世代治療薬に分けられる。
・近年のPD治療薬の開発は,症状改善にとどまらず疾患修飾療法(DMT)をめざして大きな転換期を迎えている。

2 早期の治療実践
・標準的な診断基準はMDS Clinical Diagnostic Criteriaである。
・レボドパ反応性は診断上の最も重要な所見で,レボドパ治療前後でMDS unified PD rating scaleパートⅢが30%以上改善と定義されている。
・『パーキンソン病診療ガイドライン2018』では,治療開始薬としてレボドパ配合薬のほかにドパミンアゴニスト(DA)とモノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害薬を挙げている。
・麦角系DAと非麦角系DAはPD治療薬の第一選択薬として使用されない。
・単独で治療に使用可能なMAOB阻害薬はセレギリンとラサギリンの2剤である。

3 進行期の治療実践
・臨床的には運動合併症の出現および日常活動への弊害をもって早期の終了,進行期の始まりととらえるのが一般的である。
・日内変動の改善目的のDRT強化はジスキネジアトラブルのリスクがある。
・ゲル化レボドパ配合薬の経腸投与療法は,ジスキネジアの発現を低く抑えつつ,運動障害の治療効果が十分に得られる。
・DAはジスキネジアへの影響が少ないため,進行期のADL改善に有用である。
・カテコール‐O‐メチル基転移酵素(COMT)阻害薬はエンタカポンとオピカポンがレボドパ配合薬との併用で使用可能である。
・MAOB阻害薬は脳内のドパミン代謝を抑制し,COMT阻害薬は末梢血中でドパミン代謝を抑制して血液脳関門を通過するレボドパを増やす。
・進行期のアマンタジンはレボドパ誘発性ジスキネジアの治療薬として用いる。
・ゾニサミドはドパミン神経伝達賦活作用などにより,運動障害および症状変動を改善する。
・イストラデフィリンはレボドパ併用下で症状変動と運動障害の治療に用いる。

4 非運動症状(NMS)の治療実践
・NMSは直接ADLを障害することはないが,QOLを著しく損なう。
・NMSは重症度の高さのみならず,その数が多いこともQOLを阻害する。
・特異的な治療はないため,十分なDRTが行われていることが最も重要で,次に対症的なテイラーメイドを行うことが重要である。

5 late stageの治療とこれから
・転倒や幻視などの精神症状,認知症発症,施設入所などのマイルストーン出現をもって,進行期のその先にある臨床病期をlate stageと見なす。
・経過中にはPDの病態のみならず,他疾患の合併や加齢,生活環境の変化,社会資源の問題などにより,治療への反応性や継続性におのずと限界が訪れる。
・late stageは,ADL強化ではなくQOLを重視したpatient centered medicineの提供に治療方針を舵取りする検討を行う病期である。

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