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排便後に突然ふらついた58歳男性[鑑別診断塾入門(40)]

No.5144 (2022年11月26日発行) P.9

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-11-29

最終更新日: 2022-11-25

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【現病歴】X-0日,朝7時30分頃,左手の使いにくさを自覚。歩行も家人の支えがないと歩けなかったため,自宅車でERに9時10分頃受診した。
<追加の情報>
先行する頸部痛なし。排便時にかなりいきんだ後の発症。眼前暗黒感なし。息切れ,動悸,呼吸困難なし。頸部,胸部,背部痛なし。車で病院に向かう途中,嘔気があった。頸部の軽微な外傷歴なし。
【既往歴】X-3年,脂質異常症。糖尿病,高血圧はなし。X-30年,前兆のある片頭痛。
【内服薬】頭痛時,エペリゾン,クリアミン配合錠A(エルゴタミン酒石酸塩,無水カフェイン,イソプロピルアンチピリン)もしくは新セデス®錠(アセトアミノフェン,エテンザミド,無水カフェイン)を自己判断で飲み分けていた。
【生活歴】ビール1缶/日。喫煙なし。会社員。
【バイタルサイン】BMI 23.7,BP 104/70 mmHg(左右差なし),PR 74/min(整),RR 18/min,BT 36.9℃,SpO2 96%(RA),意識清明
【身体所見】頸部:頸静脈怒張なし。胸部:心雑音・ラ音なし。四肢:下腿浮腫なし。神経:眼振はなく,他の脳神経系にも異常なし。明らかな麻痺,感覚障害なし。指鼻試験で左測定過大あり。膝踵試験で左測定過大あり。継ぎ足歩行は不可能。足底反射は底屈。

 キーワード 
・前兆のある片頭痛
・高血圧を含む心房細動のリスクなし
・軽微な外傷歴なし
・姿勢で変化する心不全症状なし
・いきみ後の突然発症   
・嘔気あり
・左上下肢の協調運動障害
・継ぎ足歩行が不可能

考えられる診断は?

A. 椎骨動脈解離による脳梗塞
B. 発作性心房細動による脳梗塞
C. 左房粘液腫による脳梗塞
D. 卵円孔開存による脳梗塞
E. 小脳出血

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