今回は,ある地域の訪問診療を行っている医療機関であったやりとりから始めます。下記は,老衰での自宅看取りを希望されている患者家族と,在宅クリニックの相談員とのやりとりです。
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相談員:うちからは,2回しか訪問しませんから。
患者家族:週2回ですか?
相談員:いえ,月2回です。
患者家族:(え〜?看取りなのに2週間に1度の訪問!?)終末期なので,週4回以上の訪問診療もできますよね?
相談員:そうなのですが,月2回以上は行きません。
訪問診療は週3回まで,急性増悪時などは週4回以上訪問することが診療報酬上は可能です。往診であれば,求められれば何回でも訪問可能です。しかし,「月2回しか訪問診療をしない」とホームページで明言している在宅クリニックは結構多いと思います。「月2回まで」の理由は人員不足もあるのかもしれませんが,管理料(在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料)の算定上,月3回以上の訪問診療を行うと診療単価が下がるからという経営的なものではないかと考えています。訪問診療の適切な頻度はどう考えるべきなのか,当法人での実践と筆者の考えを述べたいと思います。