社会保障審議会介護給付費分科会は1月16日、2021年度介護報酬改定の効果検証に関する調査の進め方を了承した。調査結果の速報値の報告は9〜10月頃になる見通しで、24年度の次期介護報酬改定について議論する際の基礎資料として活用する。
前回改定の効果検証のために今年度実施するのは、(1)介護サービス事業者における業務継続に向けた取組状況の把握及びICTの活用状況に関する調査研究事業、(2)介護老人保健施設及び介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業、(3)LIFE(科学的介護情報システム)の活用状況の把握及びADL維持等加算の拡充の影響に関する調査研究事業、(4)認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業―など6つの調査。
(1)では、感染症や災害への対応力強化を図る目的で21年度改定時に介護サービス事業者に対して3年間の経過措置を設けて策定が義務付けられた「業務継続計画」(BCP)について、実際の策定状況や都道府県・市区町村による策定支援の状況などを把握する。(3)では、LIFEへのデータ提出とフィードバックを活用した取組を評価する「科学的介護推進体制加算」などの算定状況や、LIFE の入力負担の実態、LIFEの多職種連携(特にリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養等)への活用状況と課題―などを探る。
分科会では、中央社会保険医療協議会と次期改定に向けた意見交換会を実施することも了承された。24年度に診療報酬との同時改定となるためで、本格的な議論が始まる前に両審議会の委員間で、新型コロナ感染症の流行を踏まえた今後の健康危機管理や、25年の地域医療構想後の「ポスト2025」と高齢者人口の増加がピークを迎える40年頃までを見据えた課題や方向性について、意識の共有を図る狙いがある。
議題には、▶地域包括ケアのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携、▶高齢者施設・障害者施設等における医療、▶認知症、▶リハビリテーション・口腔・栄養、▶人生の最終段階における医療・介護、▶訪問看護、▶薬剤管理―などを想定しており、3月以降に3回程度開催する予定。