厚生労働省は2月1日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会に、「令和4年度(2022年度)介護事業経営概況調査」の結果を報告した。それによると、介護報酬改定があった21年度の全サービス平均の収支差率は3.0%で、改定前の20年度から0.9ポイント低下したことがわかった。給与費を含む費用の伸びが、収入の伸びを上回ったことが原因とみられる。
介護事業経営概況調査は、介護保険制度改正や介護報酬改定に必要な基礎資料を得る目的で、改定後2年目に実施される調査。今回は、全介護保険サービスから1/1〜1/20の抽出率で抽出した施設・事業所を対象に、20年度(改定前)と21年度(改定後)の決算状況を調べた。有効回答率は48.3%だった。
主なサービスの21年度の収支差率をみると、▶介護老人福祉施設1.3%(前年度比0.3ポイント減)、▶介護老人保健施設1.9%(0.9ポイント減)、▶介護医療院5.8%(1.2ポイント減)、▶訪問介護6.1%(0.8ポイント減)、▶訪問看護7.6%(1.9ポイント減)、▶通所介護1.0%(2.8ポイント減)、▶通所リハビリテーション0.5%(1.1ポイント減)、▶居宅介護支援4.0%(1.5ポイント増)―など、改定前と比べると多くのサービスで収支差率が縮小した。
これに対して、収入に対する給与費の割合は、▶特養64.2%(0.3ポイント増)、▶老健62.0%(0.6ポイント増)、▶介護医療院59.4%(1.0ポイント増)、▶訪問介護73.1%(0.7ポイント増)、▶訪問看護73.6%(1.7ポイント増)、▶通所介護64.7%(1.7ポイント増)、▶通所リハビリ65.6%(1.0ポイント増)、▶居宅介護支援78.1%(1.5ポイント減)―など、ほとんどのサービスで上昇。前年度から給与費割合が低下したサービスもあるが、金額ベースでの比較では全サービスで前年度よりも給与費が増加している。
新型コロナウイルス感染症の経営に及ぼした影響を検証する目的で、陽性者等の発生状況別や、サービスの休止・縮小等の有無別での収支差率の比較も行ったが、明確な差は見つからなかった。