検査の結果,至急連絡を取ろうとしても,本人と連絡が取れない場合もあります。緊急を要するということで自宅にいる家族に事情を説明するも,患者本人からクレームが……。
患 者 :昨日,貴院から自宅に電話がかかってきて,妻に私の病態を説明した,と聞いたのだが……。
医 師 :外来で採血した血液検査の結果,データに増悪がみられたもので……。至急連絡を取りたかったので,自宅に電話を差し上げました。
患 者 :何も妻に詳細に説明しなくてもよいのではないか。
医 師 :いえ,大変心配していた様子でしたので,これまでの経緯も説明しました。
患 者 :たとえ家族であってもプライバシーに関することなのだから,本人の了解なく病態を説明するのは個人情報保護法違反ではないのか!
①とにかく緊急に連絡を差し上げたかったので,ご家族であればご本人の病状なども把握していると思われまして,説明いたしました。
②ご本人と至急連絡を取りたかったので,自宅に電話をかけました。ご家族も心配そうでしたので,これまでの経緯も説明させて頂きました。確かに,個人情報保護法違反と言われれば,その通りです。大変申し訳ございませんでした。
家庭内の状況は,他人からはわかりません。たとえ,病態に関することであっても,ご本人に直接説明すべきです。本人不在であれば,時間を置いて電話をかけたり,ご本人が帰宅したら病院に電話をかけるようお願いしたりするなど,方法はあったと思います。この事例では,患者の言う通り個人情報保護法違反に問われますので,②のように,ひたすら謝罪するしかないと思います。