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好酸球性膿疱性毛包炎(EPF,太藤病)[私の治療]

No.5160 (2023年03月18日発行) P.42

野村尚史 (京都大学大学院医学研究科難病創薬産学共同研究講座・皮膚科学・特定准教授)

登録日: 2023-03-16

最終更新日: 2023-03-14

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  • 好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis:EPF)は,強い瘙痒を伴う毛包一致性膿疱が,顔面・体幹・上肢に好発する疾患である。膿疱は無菌性で,多数の好酸球を含む。インドメタシンの内服が奏効する。古典型,免疫抑制関連型,小児型,の3型に分類される。

    ▶診断のポイント

    治療抵抗性の痤瘡様発疹,湿疹様発疹をみたら本疾患を想起する。

    インドメタシンの奏効性は診断根拠となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    鑑別疾患を除外しつつ,病型に沿った方針を立てる。

    鑑別疾患:白癬,毛包虫/疥癬,細菌性毛包炎,痤瘡,掌蹠膿疱症,酒皶,酒皶様皮膚炎,顔面播種状粟粒性狼瘡,虫刺症,脂漏性湿疹,菌状息肉症,水疱性類天疱瘡

    検査:発疹の直接鏡検(白癬,毛包虫,疥癬の除外),膿疱内容のスワブ培養(細菌性毛包炎の除外),血液検査(血算,HIVスクリーニング),可能な限り皮膚生検(毛包を含める)

    【古典型EPF】

    基礎疾患のない壮年男女,顔面・上半身の瘙痒を伴う紅斑,紅斑の辺縁を縁取る毛包一致性膿疱の環状配列,紅斑中央の色素沈着と治癒傾向,これらは古典型EPFの特徴である。インドメタシンの内服で寛解導入し,増悪因子を探索しつつ自然軽快を期待する。

    【免疫抑制関連型EPF】

    HIV感染による後天性免疫不全症候群(AIDS),造血系悪性腫瘍,骨髄移植後の血球減少期など,何らかの免疫抑制状態が存在する。頭頸部や体幹に,孤立性の毛包一致性膿疱が多発する。しばしば蕁麻疹様の紅斑を伴い,瘙痒が強い。まずは基礎疾患を治療する。

    【小児型EPF】

    頭皮に孤立性膿疱を呈するが,基本的に自然治癒する。わが国では稀である。ステロイド外用剤やマクロライド系抗菌薬の内服に反応する。自然治癒を期待しつつ,小児科医・皮膚科医と連携する。同居人も含め疥癬を否定する。

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