聖路加国際メディカルセンター理事長の日野原重明氏は12日、東京国際フォーラムで開かれた日本内科学会総会・講演会で講演し、会場の内科関係者に対し「アートとしての医学」への理解を求めた。
京大内科出身で102歳の現役医師である日野原氏は、「未来の医学の中の内科学の位置づけ」と題した講演の中で、プラトンの「医学は患者の体質を考慮し、それぞれのケースに働きかけることを原理としたアートである」、ウィリアム・オスラーの「医学はサイエンスに基づくアートである」などの言葉を紹介しつつ、「アートとしての医学を理解しなければ、広い意味での内科学を理解することはできない」と強調。医学におけるアートは「科学を患者にどう適用するかというタッチの技」であり、「患者とのコミュニケーションが大切」と述べた。
日野原氏は、医学が近代化するにつれ、「癒しの技」「いのちの質(QOL)」を大切にするアートの側面が忘れられ、「治療効果」や「延命」を重視するサイエンスの側面が強くなってきたとし、アートとしての医学を取り戻す必要性を訴えた。
【記者の眼】100歳を超えてからますます言葉にシャープさを増している日野原氏。「内科医は患者に慰めを与える存在でなくてはならない」とも訴えていた。(Y)