株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

特発性骨壊死症[私の治療]

No.5168 (2023年05月13日発行) P.52

池内昌彦 (高知大学医学部整形外科学講座教授)

登録日: 2023-05-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 膝関節の特発性骨壊死症は,中高年の女性の大腿骨内側顆に好発する疾患であり,突然起こる強い膝痛で発症することが多い。一般にみられる変形性膝関節症と比べて,膝痛の程度は強く,安静時・夜間痛が目立つことが症状の特徴である。内側半月板損傷を伴っていることが多く,放射状断裂や後根断裂による半月板hoop機能の破綻と,これに続発する粗鬆骨への接触圧増加によって生じる軟骨下脆弱性骨折が本症の病態のひとつであると指摘されている。そのため,段差でつまずいたり,階段を踏み外したりといった軽微な外傷をきっかけに発症する例が少なくない。病期が進行すると壊死部が圧潰し,二次性の変形性膝関節症をきたす。

    ▶診断のポイント

    典型例では,X線像において骨透亮像や石灰板,関節面の平坦化や陥凹などの所見を認める。本症の病期としては,X線像において所見のない発症期,骨透亮像を認める吸収期,関節面の平坦化や陥凹を認める陥凹期,さらに変性期に分類される。病期が進行した変性期では,関節裂隙の狭小化や骨棘形成などの変形性関節症の所見が目立つようになる。発症期にはX線像で異常がないことを認識しておくことが重要で,早期診断のためにはMRI検査を要する。MRIではT1強調像での低輝度病変およびT2強調像やSTIR像での高輝度病変としてとらえられる。

    本疾患を早期に診断するポイントは,中高年の女性で特徴的な症状(突然発症する強い膝痛,安静時・夜間痛など)があれば本疾患を疑ってMRI検査を行うことである。また,発症の誘因やその日時を患者が覚えていることもあり,丁寧な問診で誘因となりうる軽微な外傷を聞き逃さないことも重要である。

    残り1,567文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    長崎県五島中央病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 整形外科 1名
    勤務地: 長崎県五島市

    当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
    離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
    共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

    癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
    3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
    また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

    ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
    ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
    食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
    共に五島で働きましょう。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top