腰部脊柱管狭窄症は,腰椎部の脊柱管あるいは椎間孔の狭小化により,神経組織の障害あるいは血流の障害が生じ,腰痛や下肢痛・しびれ,間欠跛行などの症状を呈する疾患群である1)。高齢になるほど有病率が高く,70歳代では10%以上になる2)。
歩行により症状(腰痛や下肢痛・しびれ)の出現・悪化が認められれば,本症を強く疑う。前屈したり,しゃがんだりすると下肢のしびれや痛みが改善するといった「姿勢性要素」が存在することが特徴である。
間欠跛行は,自覚症状と他覚所見から「馬尾型」「神経根型」および「混合型」の3つの神経障害型式に分類される3)(表)。
画像診断ではMRIが有用であり,脊柱管の狭小化による硬膜管の圧迫が認められる。しかし,高齢者では画像上の変性所見や硬膜管の圧迫所見は無症状例でもみられる。
それぞれの型式によって治療方針が異なる。
自然経過で改善する例は少ない。足底のしびれのみで会陰部のしびれがみられない場合は,薬物療法(プロスタグランジンE1製剤など)をまず試みる。神経ブロック療法としては,交感神経節ブロックを試みる。罹病期間が1年以上の場合は効果が得られにくい。症状が強い場合(会陰部の症状や膀胱直腸障害がみられる場合)は,手術(除圧術)を行う。
自然経過で改善する例が多い。薬物療法(NSAIDs,プレガバリン,ミロガバリンなど)とブロック療法が基本となる。ブロック療法としては,神経根ブロックを試みる。症状の改善がみられない場合は,手術(除圧術)を行う。
馬尾型と神経根型のどちらの症状が強いかによって治療を選択する。馬尾型の症状が強い場合は,手術(除圧術)を行う。
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