厚生労働省は6月16日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会に、2022年度の「介護従事者処遇状況等調査」の結果を報告した。それによると、「介護職員等ベースアップ等支援加算」(ベア支援加算)を取得している施設・事業所では、介護職員の基本給等が加算取得前に比べて1万60円増加したことが明らかになった。
「ベア支援加算」は、介護職員の収入を3%程度(月額平均9000円相当)引き上げることを目的に、22年10月の臨時介護報酬改定で創設された。また、これに先立つ22年2〜9月には、「ベア支援加算」と同等の処遇改善を実施する予算上の措置として、「介護職員処遇改善支援補助金」(支援補助金)による支援が行われている。
調査は、1万2263施設・事業所を対象に22年12月に実施。7284施設・事業所から回答を得た。有効回答率は59.4%。
結果をみると、回答事業所等の91.3%が「ベア支援加算」を取得していた。これら事業所等における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額は、加算取得前と比べて1万7490円増加。このうち毎月支給される手当を含む基本給等は、1万60円の増加となった。一方、回答事業所等における「支援補助金」の取得割合は88.7%。取得事業所等の介護職員の平均給与額は取得前と比べると1万6550円、基本給等は9210円それぞれ増加していた。
賃金改善の実施方法をみると、ベースアップ等のみで対応した事業所等の割合は「ベア支援加算」71.1%、「支援補助金」68.2%。ベースアップとそれ以外を併用した割合は、「ベア支援加算」28.1%、「支援補助金」31.0%だった。ベースアップ等としての賃金改善の方法で最も多かったのは、「決まって毎月支払われる各種手当の新設」。介護職員以外で処遇改善の財源を配分した職員の範囲では、看護職員と生活相談・支援相談員の割合が高く、いずれも「ベア支援加算」と「支援補助金」の違いによる差は認められなかった。
一方、「ベア支援加算」や「支援補助金」の未取得事業所等の取得しない理由で多かったのは、「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑」、「計画書や実績報告書の作業が煩雑」、「賃金改善の仕組みの定め方が不明」などだった。