▶上腕骨近位部骨折は脆弱性骨折であり,脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折に続く発生頻度です。高齢者が転倒して「肩が痛い」と訴える場合には,まず鑑別に挙げましょう。肩関節が脱臼するエネルギーに達する前に上腕骨が耐えられず骨折してしまう,というイメージを持つとよいでしょう。実際に若年者に比較して,肩関節脱臼の頻度は非常に低いです。
▶また,一般に「肩」の指し示す範囲は後頸部から上腕骨までであり,患者は「肩関節が痛い」と言っているわけではありません。「肩が痛い」と訴えたときは鎖骨の診察から始め,鎖骨周囲に異常がなければ上腕骨近位を診察するようにしましょう。