社会保障審議会介護給付費分科会は6月28日、2024年度介護報酬改定に向けた個別課題の議論に入り、地域密着型サービスについて議論した。厚生労働省は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「夜間対応型訪問介護」について、仮に統合した場合も利用者に影響が出る可能性は低いとする検証結果を示した。
介護保険部会は昨年末にまとめた介護保険制度の見直しに関する意見で、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(定期巡回)と「夜間対応型訪問介護」(夜間訪問)など、機能が類似・重複しているサービスについて、将来的な統合・整理に向けた検討を求めた。両サービスを巡っては21年度の介護報酬改定時に人員配置要件の整合を図る見直しが行われており、現在は報酬体系とサービス提供時間帯が主な相違点となっている。
厚労省が分科会に報告した統合の影響検証調査によると、両サービスの利用像は概ね同じであり、仮に夜間訪問を定期巡回に統合した場合も近隣または併設の定期巡回での対応が可能であるため、夜間訪問の利用者への影響はないと考えられるという。
一方、夜間訪問の給付実態に関する調査からは、サービス提供における課題が明らかになっている。具体的には回答事業所の9割以上は「夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)」「定額報酬(オペレーションサービス)+出来高報酬(訪問サービス)」を選択していたが、定額報酬部分の算定のみで訪問サービスの提供実態がない事業所が一部存在。利用者ベースの集計では、月に一度も訪問サービスを受けていない、定額部分のみの算定の利用者が全体の7割以上を占めていた。
こうした現状に対し委員の多くから、「両サービスの機能と役割を考慮すれば一体的実施のメリットは大きい」(古谷忠之委員・全国老人福祉施設協議会参与)、「統合が可能という検証結果が示されており、機能が類似・重複しているサービスは報酬体系の簡素化の観点から、統合に向けた対応を検討するべきだ」(伊藤悦郎委員・健康保険組合連合会常務理事)など、両サービスの統合を支持する姿勢が示された。