1 感染防御策の基本
・感染症は「感染症の3要素」(①感染源,②感染経路,③宿主の感受性)を抑えることで,防御することができる。
2 感染予防策の基本
・「標準予防策」が基本:標準予防策のうち,手指衛生と個人防護具(PPE)が特に重要。
・手指衛生がポイントである。新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)は飛沫感染・エアロゾル感染にも注意。
・感染経路別予防策:①飛沫感染対策(サージカルマスク),②接触感染対策(手袋,エプロン・ガウン),③エアロゾル感染対策(N95マスク,換気)。
・動線分離:空間または時間を分離する。
3 新型コロナ感染者の療養期間等について
(1)感染者が人にうつす可能性のある期間について
①発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出。
②特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高い。
③発症後10日間は感染が広がらないように,マスクを着用し手指衛生を心がける。
(2)外出自粛について
・新型コロナ患者の療養の考え方:発症後5日間が経過し,かつ解熱および症状軽快から24時間経過するまでは外出を控えることが推奨される(発症日を0日目とする。無症状の場合は検体採取日を0日目とする)。
・発症後10日間が経過するまでは,マスクの着用など周りにうつさないよう配慮する。
・新型コロナ感染者に対して法律に基づく外出自粛は求められない。医療機関は,感染症に罹患した従事者の就業制限については状況を考慮して決定する。
4 「濃厚接触者」の取り扱いについて
・保健所から新型コロナの「濃厚接触者」として特定されることはない。「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められない。対応は,医療機関や高齢者施設等で個別に判断する。
①感染の広がりを予防するために一定期間休んでもらうかどうか,その期間。
②検査を受けるかどうか,そのタイミング。
5 家族が新型コロナにかかった場合の対応
・新型コロナの発症日を0日として,特に5日間は体調に注意して過ごす。7日目までは発症する可能性を念頭に置き,手指衛生,不織布マスク着用,換気等の感染対策をして,周りに配慮する。できる限り高齢者等,重症化リスクのある人との接触を控える。
・感染した家族とは部屋を分けて過ごし,感染を予防する。
・少しでも体調に変化があれば,感染していると想定して休み,適切な診断と治療を受ける。
伝えたいこと…
新型コロナの発生から約3年が経過し,今後は新型コロナ以外にもインフルエンザ,その他の流行を繰り返す感染症の伝播を予防するために,日常の診療においても常にポイントを押さえた感染対策を行うことが重要である。