社会保障審議会介護給付費分科会は7月10日、次期改定に向けて通所系サービスをテーマに議論した。このうち通所リハビリテーションでは、医療機関の退院からサービスの利用開始までに2週間以上を要している利用者が一定数存在することや、2021年度改定で導入されたリハビリ・口腔・栄養の一体的取組が浸透しているとは言い難い現状が明らかになった。
厚生労働省が分科会に示したデータによると、通所リハビリ利用者のADLの改善度は、退院からサービスの利用開始までの期間が短いほど高い。特に2週間以内と2週間超では顕著な違いがみられるが、実際には利用開始までの期間が2週間以上の利用者は約44%、4週間以上の利用者は約35%に達する。
一方、前回の介護報酬改定では、リハビリ・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理の取組の一体的運用を目指し、これらの実施計画書を一本化した新たな書式(一体的計画書)が導入された。だが、施設・事業所における一体的計画書の使用割合は、通所リハビリ事業所27.2%、老人保健施設19.3%、通所介護事業所14.8%、特別養護老人ホーム8.6%―といずれも低調。使用していない理由は、「別の書式で運用している」、「活用を促す加算がない」などが多い。
サービス利用まで2週間以上かかっている利用者がいる問題で、田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)は、入院していた病床種類別でさらに詳細な分析を行う必要性を指摘。リハビリ・口腔・栄養の一体的取組の推進では江澤和彦委員(日本医師会常任理事)が、「リハビリテーションマネジメント加算」の取組に歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士の参画を求めてはどうかと提案した。
通所系サービスの基本報酬を事業所規模が大きいほど低く設定する、いわゆる大規模事業所減算の見直しを求める意見もあった。事業所規模が大きいほど効率的なサービス提供が可能になるとの考えに基づく措置だが、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「大規模事業所のほうが重度の利用者を受け入れている実態もあり、必ずしもスケールメリットを活かしているとは限らない。(訪問看護など)他のサービスでは大規模化が進められる中で時代に逆行している」などとして、廃止を要望。他の複数の委員もこれに賛意を示した。