厚生労働省は8月2日、第一三共が申請していた国産初の新型コロナワクチン「ダイチロナ筋注」(一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン)の製造販売を承認した。
ダイチロナ筋注は、AMED(日本医療研究開発機構)などの支援を受けて第一三共が開発した、新型コロナウイルスのスパイク蛋白質の受容体結合領域(RBD)を標的とするmRNAワクチン。冷蔵(2~8℃)での流通・保管が可能とされている。
ダイチロナ筋注は、追加接種に用いる起源株1価のmRNAワクチンで、1回0.6mLを筋肉内に接種する。現在追加接種で使用されているオミクロン株対応2価ワクチンではなく、厚労省は9月から新たに始める追加接種でXBB.1系統を含有する1価ワクチンを使用する方針を示していることから、第一三共はダイチロナ筋注の供給は行わず、「XBB.1系統1価ワクチンに対応できるよう速やかに開発を進め、早ければ年内にXBB.1.5系統1価ワクチンを供給できるよう取り組んでいく」としている。
加藤勝信厚労相は「新型コロナを含めた感染症に対するワクチンを国内で開発・生産できる能力を確保することは非常に大事な観点との指摘がある」(8月1日の記者会見)として、国産コロナワクチン承認の意義を強調している。
「ダイチロナ筋注」の臨床成績
18歳以上を対象に追加接種を行う国内臨床試験で、起源株に対する接種後の中和抗体価が対照薬(コミナティ筋注およびスパイクバックス筋注)と同程度に上昇したことなどが確認