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日常診療でできるフレイル対策は?

No.5187 (2023年09月23日発行) P.54

津下一代 (女子栄養大学特任教授)

飯島勝矢 (東京大学高齢社会総合研究機構機構長 未来ビジョン研究センター教授)

登録日: 2023-09-23

最終更新日: 2023-09-19

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  • 長年通院している患者がフレイルかもしれません。令和2年度から始まった後期高齢者の質問票で特に注目すべきこと,短時間でできる指導のポイントや地域の通いの場についてもご教示下さい。
    東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢先生にご解説をお願いいたします。

    【質問者】津下一代 女子栄養大学特任教授


    【回答】

    【栄養・身体活動・社会参加の三本柱を軸とする総合的指導が重要である】

    高齢者については,複数の慢性疾患の重複(多病,そして結果的に多剤併用)になりやすいです。さらに要介護状態に至る前段階であっても身体的な脆弱性のみならず,心理的および社会的な脆弱性といった多様な課題と不安を抱えやすく,いわゆる「フレイル」状態になりやすいです。認知機能や人との繋がりも低下しやすく,身体的フレイル状態がさらに負の連鎖として加速し,自立度が低下しやすいです。すなわち,「疾病管理・重症化予防」と「生活機能維持・介護予防」の両面にわたる視点が重要です。

    日常診療では,まず意識したいことが2つあります。1つ目は,慢性疾患(糖尿病や炎症性疾患等),低栄養,ロコモ等,基礎病態の状態把握および介入方法の選択や工夫です。ここでは個別疾患の具体的介入までは言及しませんが,包括的な評価が求められます。2つ目は,社会的処方とも言われるように,地域資源を活用して,本人が継続的に地域交流や社会参加(通いの場等)ができるように指導をし,その実施・継続性を確認し続けることも重要でしょう。

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