新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による呼吸器感染症である。飛沫感染,エアロゾル感染,そして接触感染によって伝播する。2023年8月現在,5類感染症(定点報告)に指定されている。
新型コロナウイルス感染症の潜伏期は14日以内であり,多くの症例が曝露からおおむね3日で発症する1)。多くの有症状者で発熱,呼吸器症状(咳嗽,咽頭痛),頭痛,倦怠感などのインフルエンザ様症状がみられる。オミクロン株が主流となってからは,特に咽頭痛,鼻汁,咳嗽が目立つ症例が増えており,インフルエンザとの臨床的な鑑別は困難となっている。
特に基礎疾患のある人,高齢者,ワクチン未接種者で重症化しやすい。2023年1月時点で世界において主流であるオミクロン株は,免疫逃避が強いことからワクチン接種者も多く感染しており,重症化・死亡の頻度は低下している。しかし,ワクチン未接種者の重症化リスクは,デルタ株よりは低いものの,野生株と同等であるという報告もあり,オミクロン株の病原性が低くなっているとは必ずしも言えない。
診断は大まかに,核酸検出検査(PCR検査やLAMP法など),抗原定量検査,抗原定性検査という3つの方法によって行われる。検体としては鼻咽頭ぬぐい液,鼻腔ぬぐい液・吸引液,唾液が用いられることが多いが,注意すべき点として,発症から10日以降の症例では唾液は感度が落ちるため推奨されないこと,抗原定性検査では唾液は用いることができないこと,無症状者の検査には抗原定性検査は用いることができず,鼻咽頭ぬぐい液または唾液によるPCR検査または抗原定量検査が推奨されること,などが挙げられる。
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