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汗疹(あせも)[私の治療]

No.5192 (2023年10月28日発行) P.49

室田浩之 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野教授)

登録日: 2023-10-28

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  • 発汗後に認める紅色丘疹または小水疱である。衣類等により皮膚表面が密封される状態,あるいは多量の発汗の後に出現しやすい。汗孔,汗管の閉塞等により汗の流れが停滞することで生じると考えられている。組織学的に閉塞部位の深さから次の3型にわけられる。
    水晶様汗疹:直径1~2mmの表在性小水疱で,角層内あるいは角層直下に水疱を形成する。水疱蓋は薄いため,小型の水滴様という表現型となり,水疱は破裂しやすい。表在性のため炎症に乏しく,速やかに消退する。
    紅色汗疹:組織学的に表皮内汗管周囲の海綿状変化が生じ,汗管と真皮上層の血管周囲に炎症細胞の浸潤を伴う。臨床的には錯角化と小水疱を伴う紅斑性丘疹である。
    深在性汗疹:組織学的に真皮内エクリン汗管の海綿状変化を認め,汗管の破綻に伴い,比較的強い炎症細胞浸潤を示す。臨床的には浸潤を伴い,比較的大型で毛包と一致しない紅色丘疹となり,時に強いかゆみを伴う。汗疹を繰り返す成人の体幹や四肢にみられることが多い。

    ▶診断のポイント

    特徴的な臨床症状,経過,出現時の状況から診断できる。黄色ブドウ球菌等による二次感染を伴うことがあるので,留意する。新生児痤瘡,新生児単純性膿疱などとの鑑別を要する。確定診断につながる非侵襲的な検査はないが,他疾患との鑑別が必要な場合は皮膚生検を考慮する。皮膚の密閉で実験的に汗疹を生じさせた後,一過性の乏汗が認められるとの報告がある。必要に応じて発汗試験(ミノール法など)を行う。

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