10月26日の社会保障審議会介護給付費分科会には改定の方向性として、短期入所療養介護における「総合医学管理加算」の算定対象の拡大や、短期入所生活介護に看取り対応を行なった場合の加算を新設する案も提示された。
短期入所療養介護の「総合医学管理加算」は、医療ニーズがある利用者の介護老人保健施設への受け入れを促す目的で2021年度改定時に創設。しかしながら1月当たりの算定件数は40〜60件程度ときわめて少ない状況にある。現行の算定対象は、算定当日に短期入所の利用予定がなかった場合に限られるが、実際に急性疾患に対する医学的処置を受けた利用者の状況を調べると、その半数以上は予定されていた短期入所の利用中に治療管理を受けていた。
このため厚生労働省は今回、元々予定されていた短期入所利用中の治療管理も「総合医学管理加算」の評価対象に加えることを提案。現行は7日が限度とされている算定日数上限についても、7日を超えて治療を受け、治癒した利用者が一定数いることを踏まえ、10日に延長する考えを示した。
短期入所生活介護では、直近の調査結果から、看取り期のケアのニーズが増加傾向にあることや、過去1年間の看取り期の利用者の受け入れ実績が2割弱であったことなどがわかっている。
こうした実態に合わせた見直しとして厚労省は、レスパイト機能を果たしつつ、看取り期の利用者に対してサービス提供を行った場合の加算評価の新設を提案。その算定に際しては、①看護職員の体制や看取り期における対応方針の作成を要件として求める、②相当期間以上のサービス利用が行われる場合には算定に制限を設ける―とする案も併せて示した。
長期利用の適正化も提言した。短期入所生活介護にはすでに自費利用を挟む連続30日超の利用に対する減算措置が設けられているが、その算定率は7割を超えるなど、長期利用が常態化していることが明らかになっている。
このため短期入所生活介護と介護予防短期入所生活介護の長期利用について、施設入所の報酬単位との均衡を図ることを提案した。実質的に施設入所と変わらない利用形態になっている点に着目したもので、「介護老人福祉施設の単位数と並ぶような方向で検討していきたい」(厚労省)としている。