厚生労働省は11月6日の社会保障審議会介護給付費分科会に、処遇改善関連加算の一本化案を提示した。現在は「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ支援加算」の3種類がある各加算について、その各区分の要件・加算率を組み合わせる形で一本化。複数の区分を設け、要件の厳しさに応じて加算率に差をつける階段状の報酬にするイメージを示した。
新加算の加算率設定の際には、3加算すべての最上位区分を取得している事業所の加算率が一本化の前後で同一となるように調整する考えを示した。3加算で異なっている要件は、①職種間の賃金配分ルールは、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める」に統一する、②ベースアップ等要件は、ベースアップに充てる割合を見直しつつ一本化後の新加算全体に適用する―とした。
一本化に合わせ、職場環境等要件は、取り組むべき項目数(現行は「処遇改善加算」は24項目中1以上、「特定処遇改善加算」は区分ごとに1以上)を増やすなどの見直しを行い、より実効性の高い取り組みにつなげる方針を打ち出した。賃金改善方法の変更等の対応が必要な事業所に配慮し、一定の移行期間を設けることも提案。当該期間中は事業所が新旧加算を選択できるようにする。
厚労省はまた、訪問介護と通所介護を組み合わせた複合型サービスの新設の具体案も明らかにした。
新サービスは地域密着型サービスの1つに位置づけ、人員基準は、①管理者は1名の配置とし、従業員を一元的に管理する、②事業所全体で必要な人員を確保していれば基準を満たしているものとする、③複合型サービスと訪問介護事業所の指定を併せて受け、一体的に運営している場合は複合型サービスの訪問介護員の基準を満たしていることとする―との考え方を示した。
通所と訪問の両サービスですべての設備を共有して使用することを認め、登録定員は29人以下とすることも提案。報酬設定についてみると、基本報酬は要介護度別の包括払い(月額)とする。一方、加算・減算は、訪問介護と通所介護で設けられているものを基本としつつ、包括報酬であることや複合型サービスの特性を踏まえたものとするとしている。