厚生労働省は11月6日の社会保障審議会介護給付費分科会に、居宅介護支援や訪問看護などの改定の方向性を示した。居宅介護支援では、医療と介護の連携をいっそう促す観点から、「入院時情報連携加算」の入院後日数に関する要件を厳格化することを提案した。
居宅介護支援の「入院時情報連携加算」は、入院後早期に病院等の職員に対して利用者情報を提供した場合に評価。「加算Ⅰ」は入院後3日以内、「加算Ⅱ」は7日以内の情報提供を求めているが、厚労省はこの要件をそれぞれ入院当日と入院後3日以内に短縮する案を示した。ターミナル期の頻回なモニタリングを評価する「ターミナルケアマネジメント加算」は、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件とした上で、対象疾患(現在は末期の悪性腫瘍のみ)を限定しない形に見直す考えを示した。
基本報酬の「居宅介護支援費」について、介護支援専門員1人当たりの取り扱い件数に基づく逓減制が適用される基準を見直すことも提言。「支援費Ⅰ」は45件から(現行は40件から)、ICTの活用や事務職員を配置している場合の「支援費Ⅱ」はケアプランデータ連携システムの活用による業務効率化を図っていることを条件に50件から(同45件から)に、それぞれ緩和する案を示した。
一方、訪問看護は、医療保険の訪問看護療養費と整合を図る形で見直す方針を打ち出した。具体的には、特定行為研修などを修了した看護師が訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合の評価を、「専門管理加算」(2500円、月1回)を参考に新設。
看取り期の訪問看護については、①「ターミナルケア加算」(2000単位)の単位数を訪問看護ターミナルケア療養費Ⅰ(2万5000円)を踏まえて見直す、②離島等の利用者に対して医師が行う死亡診断等について、ICTを活用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が補助した場合の評価を新設する(「遠隔死亡診断補助加算」1500円を参考)―ことなども提案した。
このほか、医師の指示に基づいて退院当日に行う訪問看護の評価をいっそう充実させることや、看護師による訪問看護と理学療法士等による訪問看護の評価の差別化を進める案なども示した。