薬剤による筋障害には,薬剤性横紋筋融解症のように血清クレアチンキナーゼ(CK)値が著しく上昇しミオグロビン尿症を生じる場合と,ステロイドミオパチー(グルココルチコイド誘発性ミオパチー)のように血清CK値が上昇しない場合とがあるため,生じうる薬剤を知っておく必要がある。可逆性のことも多いが,回復しにくいこともある。基本は薬剤の減量ないし中止である。
ADL低下,筋力低下,筋疲労,筋痛,筋萎縮,血清CK値の変動などに注意する。横紋筋融解症ではミオグロビンによる褐色尿をきたしうる。
いずれも薬剤の中止と対症的な治療が基本になる。想定される薬剤の使用では筋障害が生じないように処方を考え,もしも生じてきたら可能な範囲で減量や中止を検討する。横紋筋融解症では脱水を予防し利尿がつくようにする。腎機能低下の程度によっては対応が変わる。
免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)として,血清CK値が数千U/L以上になると,四肢麻痺や嚥下障害,呼吸筋麻痺や心筋障害(心筋炎)から致死的状態になることもありうる。重症筋無力症を伴うことも多く,眼瞼下垂や複視などの症状や,血清に抗アセチルコリン受容体抗体のほか,抗横紋筋抗体が検出されることも多い。筋病理では壊死・再生線維の集簇が目立つのが特徴である。基本的に投与を中止し,ステロイドなどで加療する。
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