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本態性振戦[私の治療]

No.5198 (2023年12月09日発行) P.42

花島律子 (鳥取大学医学部医学科脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授)

登録日: 2023-12-08

最終更新日: 2023-12-05

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  • 本態性振戦は,頻度の高い不随意運動で高齢になるほど増加する。典型的なものは両上肢に姿勢時・動作時に出現する4~8Hz程度の速さの周期的な不随意運動であり,振戦以外の神経症状はみられない。「本態性」というのは明らかな原因はないということであり,発症機序は不明である。多種多様なものが含まれ,遺伝的なものもあり,1つの病態による疾患ではないと考えられる。

    ▶診断のポイント

    診断は不随意運動の臨床症状や,病歴,家族歴から行う。2018年の国際パーキンソン病・運動障害学会(International Parkinson and Movement Disorder Society:MDS)のConsensus statementによると1),診断には①両上肢の姿勢時もしくは動作時の振戦,②3年以上持続している,③頭部,声帯,下肢にも振戦があってもよく,④ジストニアや運動失調,パーキンソン症状などの神経症状を伴わない,という項目を満たすことが必要である。

    また,代謝異常(電解質異常,高血糖および低血糖,腎機能障害,肝機能障害,甲状腺機能亢進症など),薬剤および薬物,中枢神経病変(脳梗塞,感染症,炎症性疾患など)による二次性の振戦の除外を行うため,血液検査,脳画像検査を行う。パーキンソン病の振戦,てんかん性の痙攣,ミオクローヌスとの鑑別も重要である。

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