中央社会保険医療協議会は1月10日に開いた総会で、医療従事者の処遇改善について議論した。看護職員などの医療関係職種の賃上げでは、「初再診料等」、「在宅患者訪問診療料」、「入院基本料等」に賃上げに必要な点数を加算として上乗せする案を概ね了承。これに対して40歳未満の勤務医や事務職員等の賃上げでは、基本診療料の引き上げか、別建ての加算設定かで各側の意見が分かれている。
2024年度改定では全体の改定率0.88%のうち、医療関係職種の賃上げに0.61%を、40歳未満の勤務医や事務職員等の賃上げに0.28%を充てることになっている。
医療関係職種の0.61%分では、24年度に2.5%、25年度に2.0%のベア実現を政府目標として設定。賃上げ税制の活用を前提に診療報酬では2.3%分を基本診療料への加算措置で対応する。その設定方法では、診療報酬調査専門組織の関係分科会が、①無床診療所は「初再診料等」と「在宅患者訪問診療料」に一律の加算点数を上乗せ、②病院等(有床診含む)は「初再診料等」と「在宅患者訪問診療料」に無床診療所と同点数を上乗せした上で、不足分を「入院基本料等」の上乗せ―で賄うことを検討中。
このうち「入院基本料等」への上乗せでは、点数設定を一律にするか数種類の区分を設けるかで3案があり、上乗せ後の賃金増率の医療機関間のばらつきが最も小さく、賃上げ目標の2.3%前後に9割超の医療機関が該当するとの試算結果が示されている、150種類(1〜150点)の点数設定を行う案が有力視されている。
この日の総会でも、各側委員が揃って「初再診料等」と「在宅患者訪問診療料」は一律の点数設定とし、「入院基本料等」では150種類の加算を設定する案に賛意を表明。ただ、無床診療所では賃金増率0.5%未満の施設が一定数生じることを問題視する意見もあり、診療側委員は何らかの救済措置の検討を要望した。
一方、0.28%分で対応する40歳未満の勤務医や事務職員等の賃上げについて厚生労働省は、非常勤勤務や派遣、委託など勤務形態が多様である点を考慮し、広く算定されている診療報酬の項目での評価を提案した。これを受けて診療側は基本診療料の引き上げでの評価を要望したが、支払側は事後検証が難しくなるため、基本診療料とは別建ての加算で評価するべきだと反対した。