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免疫性血小板減少性紫斑病(小児)[私の治療]

No.5206 (2024年02月03日発行) P.47

井上秀太郎 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2024-02-06

最終更新日: 2024-01-30

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  • 免疫性血小板減少性紫斑病(immune thrombocytopenic purpura:ITP)は,血小板減少をきたす自己免疫疾患である。小児ITPは先行感染やワクチン接種後に発症することが多く,数カ月~数年で自然寛解する例が70%以上を占める。症状は軽微な出血にとどまることが多いが,稀に頭蓋内出血など重症出血を起こす。

    ▶診断のポイント

    血小板減少は10万/μL未満と定義され,薬剤や感染症による血小板減少や先天性血小板減少症,白血病などの除外により診断される。抗血小板抗体の有無は非特異的で確定診断にはならず,ヘリコバクター・ピロリ感染や自己抗体の検査も診断には必須でない。発症3カ月までを新規診断ITP,3カ月~1年未満を持続性ITP,1年以上を慢性ITP,と3つに病期分類される。重症度はBuchanan出血重症度分類に従って,点状出血や出血斑のみであれば軽症,粘膜出血や月経過多があれば中等症,重症出血があれば重症とみなす。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    重症な出血リスクと患者の生活を総合的に鑑みて行う。軽症の新規診断ITPは無治療観察とする。ただし頭部外傷のリスクが高い乳幼児や,コンタクトスポーツを行う患者など出血リスクが高い場合は,初期治療を考慮してよい。中等症以上の場合,免疫グロブリン静注療法(IVIG)やステロイドで治療する。反応不良の場合や慢性化した場合,トロンボポエチン受容体作動薬やリツキシマブを投与する。脾臓摘出は7歳以上の慢性例に対して検討される。血小板輸血はすぐに破壊されて一時的な効果しかないため,緊急止血時のみ考慮する。

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