【質問者】土戸康弘 京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部
【小児定期接種後の血清型置換で,より多価のワクチンの導入が期待される】
肺炎球菌には,菌体の外側に病原性の上で最も重要な多糖体でできた莢膜があります。その抗原性の違いにより分類された血清型は,現在100以上あり,重症度や頻度,抗菌薬感受性に違いがあることが知られています。
肺炎球菌ワクチンは,これらのうち頻度などから選んだいくつかの血清型をカバーしており,長期的な免疫原性が持続する肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)と,免疫原性が低く免疫記憶が成立しない肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV)の2種類があります。
小児では,2013年4月からPCV7の定期接種が開始となり,同年11月にはPCV7からPCV13に切り替えられました。65歳の高齢者と,60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患のある人に対して,14年10月からPP SV23の定期接種が始まりました。ただし,65歳以上の人への接種機会のため,65歳,70歳,75歳,80歳,85歳,90歳,95歳,100歳の人に経過措置を継続していましたが,本来の接種対象年齢を超えた人における接種状況が,65歳における接種率と同等程度となったため,24年3月31日で終了することが決まっています。
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