厚生労働省は3月15日、2024年度介護報酬改定に関するQ&Aの第一弾を公表した。現行の処遇改善関連3加算(以下、旧3加算)の一本化で6月から新設される「介護職員等処遇改善加算」(以下、新加算)について、賃金改善の基準点の考え方や賃金改善額に含めてよい経費の範囲などについて詳細に解説している。
処遇改善の関連通知では、新加算等(旧3加算含む)の算定事業所・施設は、加算算定額に相当する賃金改善の実施が必須であることを明記。賃金改善額は、「新加算等を原資として賃金改善を実施した後の実際の賃金水準」と、「新加算等を算定しない場合の賃金水準」との比較により算出することになっている。
この際、計算の起点となる「新加算等を算定しない場合の賃金水準」についてQ&Aは、初めて新加算等または交付金等(09年度、21年度、23年度の補正予算事業が該当)を算定した年度の前年度の賃金水準が該当すると説明。ただし、この間の職員構成の変動等のために推計が困難な場合や新規開設の場合は、新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定した上で試算するなどの方法で、「新加算等を算定しない場合の賃金水準」を算出しても差し支えないことを示した。
また、新加算等では、賃金改善額が加算額以上になることが算定要件で求められる。このため賃金改善額が新加算等による加算額を下回った場合は加算の返還対象となるが、不足する部分の賃金改善を賞与等の一時金として介護職員等に追加的に配分した場合は返還が不要になることを明らかにした。
24年度改定で介護保険施設に選定が義務付けられることになった協力医療機関(3年間の経過措置あり)には、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院、地域包括ケア病棟を持つ医療機関を想定していることを改めて明記。このうち地域包括ケア病棟は、「地域包括ケア病棟入院料1、3」の届出がある200床未満の医療機関との連携が望ましいとの考えを示した。一方で、新設の「地域包括医療病棟」については、「地域の救急患者等を受け入れる病棟であり、高齢者施設等が平時から連携する対象としては想定されていない」とし、注意を促した。