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統合失調症[私の治療]

No.5216 (2024年04月13日発行) P.48

中島振一郎 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室専任講師)

登録日: 2024-04-16

最終更新日: 2024-04-09

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  • 統合失調症は一般人口の約0.3~0.7%に生じる症候群で,10歳代後半~30歳代前半に好発する。この時期に発症年齢のピークがあり,男女比はほぼ1:1で,男性のほうが発症年齢が比較的低い。幻覚や妄想などの陽性症状,情意減弱などの陰性症状,実行機能障害などの認知機能障害を呈し,再発と寛解を繰り返すことが多い。慢性期には社会参加が課題となり,人生の進路における変化が再燃のきっかけとなりやすい。病因や発症過程は依然として完全には明らかでないが,ドパミン仮説・グルタミン酸仮説などが提唱されている。

    ▶診断のポイント

    統合失調症の症状は幻覚,妄想,精神運動興奮などの陽性症状と感情鈍麻,意欲低下などの陰性症状にわかれ,病識が障害されることも多く,自身の体験が異常であると認識できないことがある。現在,診断に実用できる生物学的検査法は確立されていないため,これらの側面を総合的に評価し,診断と治療,支援をする必要がある。臨床検査では,精神病の症状を引き起こす可能性のある,物質使用障害,内科疾患(脳腫瘍,側頭葉てんかん,甲状腺疾患,自己免疫疾患,ハンチントン病,肝疾患,ビタミン欠乏症)を除外する必要がある。

    脳腫瘍の可能性を否定するために,CTやMRIなど,脳の画像検査を行うこともある。統合失調症の人の脳には,CTまたはMRI検査で検出できる異常が生じていることがあるが,その異常は統合失調症の診断に役立つほど特徴的なものではない。また,症状の改善だけでなく,本人の望む生活と人生の回復過程(リカバリー)が重視され,当事者としての経験を持ったスタッフによる支援が注目されている。さらに,市民の統合失調症に対する知識と理解の深化,社会や医療従事者による偏見・差別(スティグマ)の軽減も,早期発見やリカバリーにとって重要な課題である。

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