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ロタウイルス感染症[私の治療]

No.5229 (2024年07月13日発行) P.51

新庄正宜 (慶應義塾大学医学部小児科学教室専任講師)

登録日: 2024-07-11

最終更新日: 2024-07-09

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  • ロタウイルス(二本鎖RNAウイルス)による感染症で,胃腸炎の主因である。主にA群ロタウイルスによる。痙攣や脳症・腎不全・菌血症など腸管外合併症も報告されている。2020年10月に定期接種化された経口生ワクチンは,乳児早期に接種し重症化を防ぐ。例年3~5月に流行がみられていたが,新型コロナウイルス感染症の流行と重なり,以降は大きな流行がない。

    ▶診断のポイント

    1~3日の潜伏期の後,嘔吐,下痢,発熱を呈し,罹病期間は4~7日程度である。ノロウイルスよりも下痢,発熱を呈しやすい。群発しやすい痙攣(胃腸炎関連痙攣)を呈することもある。

    A群ロタウイルスを便から検出する迅速抗原検査が一般的である。経口生ワクチン投与後でも陽性となりうる。

    ▶私の治療指針・処方の組み立て方

    【胃腸炎】

    ロタウイルス感染症に特異的な治療はない。嘔吐,下痢,発熱への対症療法を行う。具体的には,経口補水,制吐薬,整腸薬,解熱薬の投与を,脱水や経口摂取がきわめて不良な場合には経静脈的な補液を検討する。

    ナウゼリン(ドンペリドン)などの制吐薬は,錐体外路系などへの有害事象から,「小児急性胃腸炎診療ガイドライン」でも「有効性とのバランスを勘案して使用を決める」となっている。国内の整腸薬については,エビデンスレベルは低いが,有害事象はほとんどない。止痢薬であるロペミン小児用細粒(ロペラミド)は小児に対して有効性を認めるが,中枢神経系の有害事象のため慎重に投与すべきとされている。止痢薬であるアドソルビン原末(天然ケイ酸アルミニウム)やタンニン酸アルブミンについては,エビデンスレベルが低い。

    【胃腸炎関連痙攣】

    テグレトール細粒(カルバマゼピン)の単回投与が有効とされる。セルシンやダイアップ(ジアゼパム),ミダフレッサ(ミダゾラム)などは剤形を問わず多くの症例で無効である。

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