ループス腎炎は,全身性エリテマトーデスの臓器障害の中でも頻度が高く,腎予後や生命予後,およびQOLに大きく影響する。臨床所見および組織所見は多彩であり,病態に応じた治療選択が必要である。
全身性エリテマトーデス分類基準を満たす患者で,腎炎を疑う尿所見異常や血清クレアチニン値の上昇を認めた場合,ループス腎炎の合併を疑う。腎生検による組織評価は,ループス腎炎の診断および治療方針の決定のために重要である。
まず,全身性エリテマトーデスの治療として,ヒドロキシクロロキンは禁忌がない限り投与する。ループス腎炎の治療は組織所見に基づいて行う。ループス腎炎の組織分類は2003年ISN/RPS(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society)分類が広く用いられている。ISN/RPS分類では,class Ⅰ〜Ⅵに分類され,class Ⅲ,Ⅳ,Ⅴが治療対象である。class Ⅲ,Ⅳは活動性腎炎であり,腎機能低下に影響が大きい。class Vでは蛋白尿漏出をきたし,ネフローゼ症候群を呈することが多い。
ループス腎炎の治療は,寛解導入療法と寛解維持療法にわけられる。寛解導入療法では疾患活動性を抑えるために,比較的多量の副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬を用いる。寛解導入された後は寛解維持療法に移行し,副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を最低限の量まで減量する。近年,ベリムマブやリツキシマブなどの生物学的製剤の活動性ループス腎炎に対する有効性が報告されており,既に全身性エリテマトーデスに保険適用となっている。アニフロルマブの活動性ループス腎炎に対する有効性についてもエビデンスの蓄積が期待される。
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