「めまい」は主観的な訴えであり,様々な領域の疾患が含まれ鑑別は多岐にわたる。まずは前失神かどうかを考え,心血管疾患の除外を行う。中枢性めまいの鑑別には,めまい以外の神経症候の評価が重要である。
「めまい」という単語を使わずに患者に症状を説明してもらうことは,病態の把握の一助となる。ただし,訴えが不明瞭で一貫性がないなど信頼性に欠ける場合もある。
突発性のめまいは血管病変を示唆する。しかし,突発性難聴や良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)も突発性に発症するため,発症様式のみで疾患を特定することは困難である。
嘔吐はすべてのめまいに随伴しうるため,鑑別の役には立たない。複視や構音障害,麻痺や感覚障害などの神経脱落症状があれば,脳血管障害を強く疑う。眼前暗黒感や胸部症状などを伴う場合は,前失神を想起する。
著明な徐脈・頻脈の場合,不整脈疾患による前失神を疑う。
著明な低血圧は心血管疾患の可能性を,著明な高血圧は脳出血などの可能性を考える。
中枢性めまいを鑑別するには,めまい以外の神経症候を見つけ出すことが重要である。脳幹・小脳の病変が主であるため,眼球運動障害・構音障害・顔面や上下肢の運動感覚障害・協調運動障害・体幹失調などを評価する。
めまい以外の神経症候を伴わない末梢性めまいでは,眼振により鑑別を行う。末梢性めまいを示唆する所見としては,Dix-Hallpike testで誘発される回旋性眼振(後半規管型BPPV),supine head-roll testで誘発される方向交代性眼振(外側半規管型BPPV),自発性に出現する方向固定性水平性眼振(BPPV以外の末梢性めまい)などがある。なお,軽微な眼振はFrenzel眼鏡を用いないと検出できない。
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