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造血細胞移植後のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化予防のためのワクチンの有用性について

No.5234 (2024年08月17日発行) P.54

中村信彦 (岐阜大学医学部附属病院血液・感染症内科)

小野澤真弘 (北海道大学大学院医学研究院血液内科学講師)

登録日: 2024-08-14

最終更新日: 2024-08-14

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  • B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)既感染の造血器腫瘍患者においては造血細胞移植に伴うHBV再活性化のリスクがありますが,HBワクチンの有用性についてご教示下さい。
    北海道大学・小野澤真弘先生にご解説をお願いします。

    【質問者】中村信彦 岐阜大学医学部附属病院血液・感染症内科


    【回答】

    【ドナー細胞を免疫することでHBV再活性化の抑制を期待する】

    HBVでは感染後中和抗体であるHBs抗体が出現し,既往感染状態になっても肝臓組織の中に残存し,免疫抑制状態では再活性化を起こすことが知られています。再活性化による肝炎は時に劇症化することがあり,HBV-DNAモニタリングによる肝炎発症前の早期診断が重要です。

    リツキシマブなど免疫抑制効果のある多くの抗癌剤,分子標的療法でHBV再活性化リスクがあることが知られていますが,そのほとんどは免疫力が一過性に低下する治療後1年以内に起こります。一方,同種造血細胞移植後では再活性化リスクがさらに高く,移植後数年を経ても再活性化リスクが残るため,継続したHBV-DNAモニタリングが必要となります。

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