細菌性赤痢は赤痢菌による腸管感染症で,ヒトからヒトへの直接感染,あるいは汚染された食物や水などを介して経口感染する。感染症法で3類感染症に分類されており,便から赤痢菌が分離され,細菌性赤痢による有症状者や無症状病原体保有者を診断した医師,あるいは死亡者を検案した医師は,直ちに最寄りの保健所に届け出る。
赤痢菌はShigella dysenteriae,S. flexneri,S. boydii,S. sonneiの4菌種があり,国内発生の細菌性赤痢はS. sonneiによるものが多く,症状の軽いことが多い。便培養からこれらの細菌が分離されることで確定診断となるため,症状や喫食歴,生活歴などから細菌性赤痢が疑われる場合には,感染を拡大させないためにも積極的に便培養を提出し,診断する。
感染後1~5日間の潜伏期間を経て,倦怠感,発熱,下痢などで発症し,腹痛やしぶり腹,血便を伴うこともある。
海外での感染,特にアジアでの感染事例が多く,国内の感染では保育園でのアウトブレイクや性感染症として感染が拡大した事例も報告されており,喫食歴だけでなく,海外渡航歴や同様の症状がある人との接触の有無についても確認する。
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