【質問者】
清水俊夫 東京都立神経病院副院長
【磁気刺激検査(二連発刺激法)はALSのUMN障害の診断に有用である】
ALSはUMNと下位運動ニューロン(lower motor neuron:LMN)が系統的に侵される予後不良の変性疾患です。いまだ根治療法は存在しないものの,早期からの積極的な介入が予後に影響し,また治験薬の効果も病早期でより高いと考えられるため,早期診断は重要です。
ALSの診断に際してはUMNとLMNの両者の障害を神経診察で検出することを試みますが,LMN障害による筋力低下・筋萎縮が存在する中で腱反射亢進などUMN徴候を検出するのは容易ではありません。一方で,UMN徴候の乏しい患者では,末梢神経障害や脊椎疾患との鑑別が難しく,誤診や診断の遅れにつながることもあります。
しかし,ここで潜在的なUMN障害を客観的に証明できれば,他の神経筋疾患との鑑別は可能となります。そのようなUMN障害を検出可能な電気生理検査として期待されているのが,経頭蓋磁気刺激検査(transcranial magnetic stimulation:TMS)です。
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