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筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する上位運動ニューロン(UMN)障害の評価について

No.5246 (2024年11月09日発行) P.52

清水俊夫 (東京都立神経病院副院長)

東原真奈 (東京都健康長寿医療センター脳神経内科医長)

登録日: 2024-11-06

最終更新日: 2024-11-05

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  • 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)においては,上位運動ニューロン(upper motor neuron:UMN)障害をいかに評価するかが,診断感度の向上に寄与する重要なポイントです。ALSのUMN機能の評価に関する最近の知見をご教示下さい。
    東京都健康長寿医療センター・東原真奈先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    清水俊夫 東京都立神経病院副院長


    【回答】

    【磁気刺激検査(二連発刺激法)はALSのUMN障害の診断に有用である】

    ALSはUMNと下位運動ニューロン(lower motor neuron:LMN)が系統的に侵される予後不良の変性疾患です。いまだ根治療法は存在しないものの,早期からの積極的な介入が予後に影響し,また治験薬の効果も病早期でより高いと考えられるため,早期診断は重要です。

    ALSの診断に際してはUMNとLMNの両者の障害を神経診察で検出することを試みますが,LMN障害による筋力低下・筋萎縮が存在する中で腱反射亢進などUMN徴候を検出するのは容易ではありません。一方で,UMN徴候の乏しい患者では,末梢神経障害や脊椎疾患との鑑別が難しく,誤診や診断の遅れにつながることもあります。

    しかし,ここで潜在的なUMN障害を客観的に証明できれば,他の神経筋疾患との鑑別は可能となります。そのようなUMN障害を検出可能な電気生理検査として期待されているのが,経頭蓋磁気刺激検査(transcranial magnetic stimulation:TMS)です。

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