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皮膚・粘膜カンジダ症[私の治療]

No.5253 (2024年12月28日発行) P.48

福田知雄 (埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授)

登録日: 2024-12-28

最終更新日: 2024-12-24

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  • カンジダ属真菌は消化管,粘膜,皮膚に常在する真菌で,これによって引き起こされる代表的な感染症が皮膚カンジダ症と口腔・外陰部の粘膜カンジダ症である。カンジダ性間擦疹,カンジダ性指(趾)びらん症,乳児分芽菌性紅斑,カンジダ性爪囲爪炎,爪カンジダ症,口腔カンジダ症(鵞口瘡),外陰腟カンジダ症,カンジダ性亀頭炎・亀頭包皮炎などの病型がある。
    本症は健常者に生じる場合と,免疫異常を背景に発症する場合がある。前者では,水仕事,おむつ使用などによる皮膚の浸軟・湿潤,バリアー障害,肥満,多汗などの体質,ステロイド外用薬の誤用などの局所的因子が誘因となる。後者では,糖尿病,膠原病,HIV感染症,血液疾患,免疫抑制薬・生物学的製剤の使用による免疫力低下が発症に関与する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    指間や皮膚のくびれ部分,おむつ・衣服などに覆われた高湿度状態の部分に,正常な部位と境界明瞭な紅斑,びらん,薄い膜状の鱗屑が現れる。小膿疱が特徴的で,薄い膜状の鱗屑と多発する小膿疱がそろう患者では,視診のみで容易に本症を疑うことができる。

    【検査】

    病巣の鱗屑や膿疱の一部を採取して「直接顕微鏡検査」を行い,仮性菌糸や密生する分生子を確認することで本症と診断できる。爪カンジダ症など,白癬との鑑別が難しい場合は真菌培養が行われる。カンジダ属に分類される真菌の種類は多く,原因菌種まで特定するには,菌種により異なる色のコロニーが発育してくる発色培地を用いるか,質量分析装置を用いた解析が必要となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ほとんどの皮膚カンジダ症は,有効な抗真菌薬を連日1~2回外用することでおおむね2週間以内に治癒させることができる。特にアゾール系外用薬は皮膚カンジダ症に有効であることを示したメタアナリシスがあり,その効果が証明されている。

    患部が広範囲に及ぶあるいは強い炎症症状を伴って患者の苦痛が大きい等の重症例,カンジダ性爪囲爪炎,爪カンジダ症には抗真菌薬の内服が用いられる。

    口腔カンジダ症も外用,内服を重症度により使いわける。内服は中等症~重症の口腔カンジダ症で推奨されている。外陰腟カンジダ症は,腟剤,内服で治療する。

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