特発性大腿骨頭壊死症は,原因不明に大腿骨頭の一部が虚血性壊死に陥り,骨頭の圧潰(軟骨下骨折)をきたす疾患であり,指定難病とされている。患者背景にステロイド全身投与歴や習慣性飲酒歴があることが多く,青壮年層に好発する。
診断は画像所見に基づくが,病歴や生活歴から本疾患を鑑別疾患に挙げることが重要である。
進行期には①骨頭の圧潰あるいは骨頭軟骨下骨折線,および②骨頭内の帯状硬化像が特徴的である。早期には不明瞭なこともある。
壊死域を取り囲む修復域が③T1強調像で低信号バンド像として描出される。早期診断に有用である。
上記①〜③のうち2つ以上満たすと確定診断となる(厚生労働省診断基準)。
本疾患は骨頭が圧潰する前に無症候性大腿骨頭壊死として偶発的にMRIで同定されることがあるが,骨壊死の大きさや位置(骨壊死が骨頭のどの部位にあるのか)によっては圧潰しないまま経過することもめずらしくない。圧潰予防法として確立している治療法がないこともあり,無症状であれば経過観察としている。
残り1,349文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する